「はぁ……はぁ、あれか…!?」
悲鳴を上げて逃げ出している住民に逆らいながら進んで銀行の近くまでやって来た。
無人に等しくなったその場所に1人の男とそれを取り囲むようにして数名の警官がいた。
「ひゃははははっ!!! さぁどうした!? こいつが怖くて動けないのかクソどもぉ!!!」
男は状況から判断してさっきの爆発を起こした犯人だろう。
そいつが何かを掲げて―――とゆうか……どうしようもなく爆弾じゃんか、アレ!!
一体何なんだ? どうなってるんだこれは?
「カリムさん!?」
男を取り囲んでいる位置より少し離れた所にいたポーレウスが驚いた顔で近づいてきた。
「どうしてこんなところに!?」
「そんなことはどうでもいい。これはどういうことなんだ?」
「え、ええ。どうやら護送中だった犯人が隠し持っていた爆弾で逃げ出したみたいで」
「なるほど」
どこから逃げたのか知らないがこの街でついに追い詰められたと。
で、さっきの爆発は警官への威嚇ってとこか。
「にしてもこのままじゃ持久戦だな」
男と警官たちの方を見る。
ポーレウスもそれにつられるようにそちらを見て頷いた。
「あの爆弾は魔導式が組み込まれてるタイプだな。着火作業が必要ないからその分隙が減る」
「……詳しいんですね、カリムさん」
「まぁ、ちょっとかじった程度にはな」
「でも持久戦になると犯人が錯乱する可能性がでてしまう」
「だな。で? 交渉とかはしてみたのか?」
「いえ、今から行うところです」
と、ちょうど交渉人らしき人物が犯人に近づいて話しかけようとしているところだった。
「いいか? お前は完全に包囲されている。このまま大人しく捕まればそれで良し、あくまでも反抗
するのであればこちらは君を射殺する次第だ。君がその爆弾で自爆しようものなら我々はただちに避難する。
つまり、ただの無駄死にだ。だが我々とてそんな安易な解決は好ましくない。だからまず言いたいことが
あるのであれば聞いてやろう。制限時間は3分だ、好きに話せ」
「ちょい待てい!!」
「カリムさん。あまり大きな声を出さないで下さい」
「違うだろうが! あれは交渉と全然違うだろうが!! どっか根本的に間違っとるだろうが!!!」
「今から俺が言う奴を連れて来いっ!!」
「嘘っ!!!?」
いやいや、おかしいだろ絶対に。
だが、俺の叫びなどお構いなしと話は進んでいく。
「その人の名前は!」
「この街に住んでやがるカリム=ウォーレンだ!!!」
その瞬間ポーレウスが俺を見た。
見られた俺は驚いていた。
え? 何々?
俺、御指名っすか?
何で!?
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