「あんたら遅いわよ〜」
遠くからサリスが呼んでくる。
バケモノかアイツは……!!
日が高くなってきた昼前。
仕事である盗賊団の壊滅に向かっているのだが―――――――
「何でアイツは二日酔いとかになってないんだよ、おかしいだろうが…」
そう…明け方に酔いつぶれたハズのサリスは、でも数時間して眼を覚まし
今こうして仕事をしているのだが、まったく酔っていないのだ。
俺とアルはと言えば完全に二日酔いで、加えて寝不足もある。
「アイツは昔からああだよ。しかしファムちゃんまで巻き込むのは初めてだったけど」
俺と同じくフラフラした足どりでアルが話しかけてくる。
あの後結局ファムも酒を飲まされ1口でダウンした。
仕事もあったのでそのままアルの部屋に寝かしてきたが、問題ないだろう。
「…カリム」
「あ?」
「お前は別に戻ってくるつもりはないんだろ?」
「…まあ……な」
いきなり真剣な質問をしてくるアルに決まり悪そうに答える。
だがアルはそんなことはどうでもよさそうで――――――
「時々はファムちゃんに顔見せろよ?」
なんて言ってきた。
とりあえずアルから顔を背けて
「そのつもりだ」
と答えた。
あ〜〜〜っ! クソッ!! 絶対にニタ〜ッって笑ってるに決まってる!!
「そか、それならいい」
そう言うアルの顔を横目で見る。
二日酔いで辛そうな顔をしてはいたが、口が少し笑っていた。
く………!!
「あんたら遅いって言ってるでしょ〜!!」
遠くからまたサリスの声が聞こえる。
アルと顔を見合わせため息をつく。
「………行くか」
「……………………そだな」
そしてフラフラの足を少し速めた。
◇◇------------------------------------------------------------------------◇◇
夕方。
私は眼を覚ました。
「………あれぇ…」
何だか頭がポ〜ッとする。
それに気持ち悪い……
「あ、そうか…」
昨日ファムにお酒飲まされたんだったっけ。
う〜…1口でダウンしちゃったのかぁ…
あ、ってことはカームにみっともないとこ見せちゃったってこと?!
「あう……恥ずかしいぃ〜」
ボフッと枕に顔を埋める。
うう…カームどう思ったかなぁ?
変に思ってないといいんだけどな……
「あれ? ……そういえば…カーム?」
部屋の中には誰もいない。
ここがアルの部屋なのはわかるけど誰もいないのは……って
「そっか、3人とも仕事だっけ」
昨日サリスが言ってたっけ。
とりあえずベットから起きて適当に昨日の宴会の後片付けをする。
まだ頭がポーッとしてはいるけど、何とか大丈夫なくらいになってきた。
そのまま1度自分の部屋に戻ることにした。
「こんなとこにいたのか」
声
アルの部屋を出たところで声が私を引きとめた。
振り返るとそこには先生がいた。
「あ、何か用でしょうか?」
「ああ。時間があればここで構わないんだが」
「はい、いいですよ」
先生が廊下で話なんて珍しい。
一体何なんだろう?
「ところで…酔っているのか?」
「えと…ハイ。昨日少し飲まされまして」
「そうか、なら好都合だ。そのほうが反応が遅れて助かるからな」
「え――――――――――」
先生今何て………?
そんなことを考えている間に先生は懐から銃を取り出した。
NEXT
TOPへ