後悔


 そう俺は後悔している。
 いや…自分たちはいつもどうりの事をしただけだ、後悔はしていない。
 いつものように人気のない所を1人で歩いている奴を襲って金目の物を奪おうとしただけだ。
 人々はそれを悪いと言うが、こちらは生きていくためにそうしなくてはいけない。

 だから――――――

 後悔なんてするハズがないんだ。

 そう……言うなれば相手が悪かったと言うべきだ。
 いつもは4人で走る逃走ルートを俺は1人で走っている。
 他の3人はもうこの世にはいない。

 あっという間だった。

 まず4人でからんだ時、即座に1人死んだ。

 一瞬何が起きたのかわからなかったが、すぐに我に返って殴りかかろうとしてまた1人死んだ。

 俺と生き残ったもう一人はさすがに普通ではないと悟り逃げ出した。

 逃げる途中で残りの1人も殺された。

 後は俺だけだ―――――

 とにかく走った。
 ここの地形なら俺たちが誰よりも詳しい、そうそう追いつけたりしない。
 だが…これはどういうことだ?
 俺の後を追ってきていた追跡者は眼の前に立っていた。

「なんで―――――――――――っ!?」

 ありえない。
 ここは長い一本道だ、仮に相手がここの地形を知っていても先回りできるはずがない。
 俺はあわてて道を引き返した。

「どこに行くんだい?」

 本当に――――――ありえない。
 相手は俺のすぐ後ろに立っていた。
 気を失いそうだったがそうはならなかった。
 思えばいっそ気絶していた方がよかったのかもしれない。

俺は声を出す間も考える間も与えられずゆっくりと殺された

 最後に眼にしたのは――――――――――緑色の眼。

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 まったくついてない。
 とある森の奥深くで暮らしていた少女が"覚醒者"になったとの情報が入り、迎えに来たのに既に
"ジックロウサー"に保護されてしまっていた。
 いくらなんでもあそこの魔法使いを相手にするのは望ましくない。
 どうしようかと1人考えながら歩いていたら、4人の男がからんできた。
 うるさいので1人殺した。
 そこで逃げればいいものを何を血迷ったのか殴りかかってきたのでもう1人殺した。
 ようやく残りが逃げ出したがこうなれば全員殺した方がいいだろう。
 足の遅いほうを殺した。
 しまった……先に足の速いほうを殺すべきだった、無駄な体力を使うことになるではないか。
 残る1人はなかなかここの地形を把握しているらしい、なかなかチャンスがつかめない。
 しかたないのでアレを使うことにした。
 本当なら人間相手に使うのは避けたいのだが、これ以上時間をかけたくない。
 そして相手の前方に現れた。
 相手は驚いて引き返そうとする、ここで逃がすわけにはいかないのですぐさま背後に回りこむ。

「どこに行くんだい?」

 逃げても無駄なのに。
 どこに逃げてもどうせ俺が殺すのに。
 相手が何かする前に殺した。
 ゆっくりで、でも確実に。
 そして男が確実に死んだのを確認した時、声が聞こえた。

「―――何だと?」

 まだもう1人"覚醒者"がいた?

「間違いないんだな? 情報をくれ――――」

 そして頭の中に一気にその人物の情報が叩き込まれる。
 その1つ1つを整理してゆき、まず必要であること確かめる。
 身体的特徴、住んでいる場所、そして名前――――

「カリム=ウォーレン………か。話し合いの通じる奴だといいんだが」

 こいつらみたいなのはゴメンだ。
 今しがた自分が殺した人間を見る。
 その眼は空を見ていた、つられてそちらを見てみる。

「満月か―――意外にロマンチストだったんだな。生かしといてもよかったかな」

 そんなどうでもいいことを呟いて、俺はその場を離れた。


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