「フフフ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
家に帰って勘定をしていたのだが…これなら半年は遊んで暮らしてても余裕があるだろう。
そんなわけでもうさっきから顔がにやけっぱなしで困った。
「少し気味が悪いぞ、カリム」
眼の前で茶をすすりながらデニスがつっこんできた。
「うるせぇなぁ…しょうがないだろ。ここんとこデカイ収入なんてなかったんだからよ。
だいたい何でオマエまだいるんだよ? 何か用でもあるのか?」
「ふむ、何か大切なようで大切でなく、でも大切っぽいものを忘れている気がしてな」
「何だよソレ。まぁいいや、今日は機嫌がいいからな俺は。何も壊さないなら泊まってもいいぞ」
「そうか、ではお言葉に甘えよう。どうせたいしたことでもあるまい」
「うし、じゃあ今日はもう寝るぞ? ソファーでいいかデニス?」
「ああ。ではオヤスミ」
お休みーと答えて自分の部屋に入り、報酬の金を小型の金庫にしまって、ベットに飛び込む。
あ〜もう眠い〜…………
そのまま俺の意識は深い眠りへと消えていった。
消える瞬間にデニスではないが俺も何かを忘れている気がした――――
だがそれについて考える暇は無かった。
◇◇---------------------------------------------------------------------◇◇
眼の前の女の人について私は歩いている。
セフィさんはこの人に私のことを説明して私を任せたと言ってどこかへ言ってしまった。
この人――――――――オリエナ=ファーブスィンさんによると仕事の報告などがあるんだそうだ。
そしてとある部屋に入れられた。
「さてと…エリナだっけ?」
「は…はいっ!?」
いきなり話しかけられて思わず声が大きくなってしまった…恥ずかしいぃ
「そんなに緊張しなくていいから。今日からあなたと私で相部屋になるけど何かこれだけは嫌っていうのは
あったりする?」
「え…いえ特には…って…相部屋……?」
「ん? もしかして1人部屋がよかった?」
「そんなことないです!!」
「そ、よかった。あなたに魔法制御のことを教えるの私だから相部屋の方が早く馴染めるかなって思ったん
だ〜」
どうやらこの人は私のことを気に入ってくれているらしい。
あれやこれやと質問された。
「そっかー、大変だったのねぇ」
「はぁ…」
ポンポンと肩を叩いてくるオリエナさんに生返事しかできない。
「オリエナさんって…以外によく喋る方なんですね」
「あ、お喋りとかは嫌いだった?」
「いいえ、大好きです! …ただセフィさんと話してたときは何だかそんな感じがしなかったから…」
そう本当に最初見たときは有能な秘書さんみたいだったのに今ではお喋り好きのお姉さんみたいだ。
「まぁ仕事中だしね。部屋にいる時は結構こんな感じなのよ、あまり知ってる人はいないけど」
そう言ってまたお喋りが始まり―――
しばらく話して、気がつけば辺りが暗くなりだしていた。
「あ、もうこんな時間か。エリナはご飯どうする?」
「今日はいろいろあったので…もう寝ようかなと」
「わかった、ゆっくり休んでね。お休み。」
「オリエナさん」
部屋を出て行こうとする相手を引き止める。
オリエナさんは、何? とこちらに振り向いた。
「あの…ありがとうございます」
「何が?」
「その…私なんかと仲良くしてくれて」
「ははっ、何言ってるの? 友達と仲良くするのは当然でしょ」
そう言って今度こそ出て行ったオリエナさんの足音が消えるまで私は思わずポーッとしてしまった。
少なくとも私は5人の友達ができたらしい。
ベットに入って、もっと増えるといいなぁと思った。
でもそのためにも私は私の能力をきちんと制御できるようにならないと。
そしてそれができたらあの人の――――――
始祖魔法使いの名前を呼ぼう
◇◇------------------------------------------------------------------◇◇
ああ、暗い。
月明かりも届かない小屋の中で手足を縛られ、寝転がらされている。
ここに放っとかれてから地響きがしたり
爆発音がしたりと不安を駆り立てるようなことがあったのだが
それもだいぶ前におさまっている。
ってゆうか……………
「何で誰も助けに来ないのよおーーーーーーーーーーっ!!!
せめてデニスくらいは来なさいよおーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
私のそんな叫びは狼の遠吠えにかき消された。
ああ…私ことシーラ=ゴルテウスはこんなとこで何をしているのだろうか?
センチな気分になってきてしまった。
きっと明日には助けが来るだろうしもう寝よう。
ちなみに私が助けられたのはそれから3日後のことだった。
第三章 〜森で目覚めしは理想求めた始祖魔法使い〜 完
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