「う〜ん……」
あの始祖魔法使いめ〜!
自分の近くに転移できないように結界はったな〜?
おかげで結界にあちこち飛ばされたじゃない〜
まぁそんなこんなで1日費やしたあげく今日の朝になって結界の近くまで転移すればいいんだと気がついて
転移したのだけど……
樹
四方八方…樹だけ
森だと知ってはいるがさすがにこれじゃあさっぱりだよぉ
こんな時は―――
「朝ごはんだ〜」
持っていたバスケットを開ける。
中にはサンドイッチと私の好きなアップルティーの入ったポット。
昨日しぶしぶ帰ったら今日の朝またオリよんが作ってくれたのです。
ありがと〜、そして――
「いただきま―――――」
ひゅごん!!
サンドイッチを口に運ぼうとした瞬間何かが物凄い速さで通り過ぎた。
それは私のサンドイッチを持っていた手をかすめ――
ぽとっ
私の手からサンドイッチを離させた。
「何するんですか〜っ!!!」
堪らず怒鳴る。
うう…せっかくオリよんが作ってくれたのに〜
私の声は聞こえたみたいだったがそれは止まらなかった、ただ
「ここにはお宝なんてないからねえええぇぇぇぇぇぇっ!!!」
とだけ叫んでいた。
お宝? 私は始祖魔法使いを探してるだけなんだけど…
でももうそれは見えなくなっていた、女の人だった気がするけどあんなに速く走れるなんて羨ましい。
まだ残っているサンドイッチを食べながらそう思った。
朝ごはんも済んでとりあえず女の人が走ってきた方向に向かい歩き出した。にしても…
う〜何でこの森は樹の根っこがこんなに――
「はうっ!?」
……さっそく転んでしまった。
痛い〜、鼻がジンジンするぅ
おもいっきり打ち付けた鼻をさすって顔を上げると家が見えた。
近くの樹まで近寄って中の様子をうかがってみる……人がいる。
もしかして始祖魔法使い……?
あれ…でも他にも人がいるみたい。
仲間? なら家ごと壊滅させて―――ってダメだ〜そんなことしたら前のリーダーとの約束が〜
ええいっ!!
こうなったら〜―――――
◇◇‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐◇◇
シーラが素早く出て行ったドアを閉め3人仲良く食後のお茶となった。
とゆうかエリナは昨日まで腕だの足だのを切り落とすとか言ってたデニスといつの間に仲良くなったんだ?
まぁ…平和なのは助かるから聞かないでおこう。
「それはだな。朝俺が目覚めた時に―――」
「聞いてねえよっ!!!」
なんつうか非常識バカから不思議キャラになってきた気がするなぁ…
「あの…デニス…さん? それ……は」
デニスを見れば前回よりどす黒さを増した謎のジャムを茶の中に半分くらい入れてかき混ぜて
一気に飲み干した。
…もう非常識バカでも不思議キャラでもどっちでもいいや。考えるだけ無駄だ。
当のデニス本人はこちらが痛い視線をして見ているのも気にせず平気な顔して、いきなり話をきりだした。
「村の奴はここに来ると思うか?」
それはあたり前の質問だった。
なので俺もあたり前の返事をする。
「そりゃ来るだろ。シーラが殴りこみに行ったことで村の奴らは後が危ういんだし」
その言葉にエリナがビクッと反応した。
だから…俺のバカ。
「あ〜、心配しなくても村の奴に引き渡したりはしないよ」
「そうだ、心配するな」
「……え?」
俺とデニスのそんな言葉にエリナは驚いた顔をした。
「な…何で?」
驚いたまま聞いてくる。
「それは―――――」
気配。
すぐ近くに人の気配がした。
「あの…カリ――」
話しかけてくるエリナを手で制し、デニスに話しかける。
「どう思う?」
「村の奴にしては早い。もしかしたら昨日のうちからつけていたのかもしれん」
「ま、とっ捕まえりゃいいだけだ」
「そうだな」
言うとデニスは窓を音をたてずに開け外に出た。
俺もドアの側に銃を抜きながら息を潜める。
エリナも状況を察して黙っていた。
と、徐々に足音が聞こえてきた。
その足音の人物はドアに一歩一歩近づき、ドアを静かに開けた。
「覚悟してくださ―――――」
「動くな。何かしようとすれば即殺す。いいな?」
入ってきたのは長い紅い髪の赤い眼をした…俗に言う魔法使いみたいな格好の女だった。
女は俺とエリナを見て。
さらに家の中をくまなく見て一言――
「あれ?」
と言い、こちらに話しかけてきた。
「すいません〜。あの、私の勘違いみたいです。何もしませんからここは1つ武器を下ろしてもらいたいんですが〜」
……嘘には思えないな。
そう思って銃を下ろしたが女は動かない――――――いや、動けない。
「本当に何もしませんからぁ、後ろの方も武器下ろしてもらえませんか〜」
と女の後ろから漆黒の大剣を突きつけていたデニスに言う。
デニスはこちらに眼でどうする? と聞いてきた。
まぁやっぱり嘘だと思えないので頷いた。
「残念だったな、お前はここで死ぬん――――」
「おおおおおりゃああああああっ!!!!!!」
顔面にワンツー。
2発目には殴る際に捻りをくわえてみたりする。
はぁ、はぁ……コイツは……!!
「いまのは…俺が悪かった」
奴がバカなのを忘れていた俺が。
「俺はカリム。カリム=ウォーレン。あそこで倒れてるのはデニス。んで――」
と中のエリナを見る。
「あ…エリナと言います」
ペコリとお辞儀するエリナ、それにつられて女もお辞儀をする。
「私はセフィリルウス=アンスエイト=クランです…セフィって呼んでください。
大陸"ガウルセンシズ"魔導機関"ジックロウサー"のリーダーを務めてます」
「ぶっ!?」
は…はぁ!?
あの大陸中の各国の魔法使いを集めてできた組織のリーダー!?
普通のメンバーでもエリートって呼ばれるような奴なのにその中のリーダー!!?
言っちゃあ悪いけど、こんなポケポケしたのが!!!!?
もう1度女…セフィを見る。
やっぱりどう見たって――――――
ポケポケにしか見えないぞ?
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