何故か俺の台詞に対しての3人の反応は冷ややかなものだった。
そんな見栄はるな、とでも言いたそうな感じだ。
「言っとくが条件しだいでは本当に何とか―――――」
「先にエリナの居場所を特定した方がよくはないか?」
「"ジックロウサー"に応援を頼むのもアリでは〜?」
「…………(コクコク)」
「聞けやコラアァッ!!!」
そこまで信用ないのかよオイ!
少なくともデニスよりはマシだろうが!?
「では話しだけでも聞こうではないか」
「…………まぁだから、条件しだいだよ。絶対的な条件は2つ。1つはどうにかできるけど、
結局はどっちともおっさんかセフィ次第だ」
「いったい何をするんです〜?」
「その前にまず知りたいのは、このエリナの能力の支配下にある森は魔力によって行動しているのか
それ以外の何かで行動しているのかってことだ。どうなんだ?」
真面目に話す俺を見てようやく信じてくれる気になったのかおっさんが顔をしかめて考えこむ。
しばらく森を眺めてからおっさんが口を開いた。
「断言はできんがおそらく魔力で行動しているだろうな。もちろんエリナのものとは考えられんから、
樹に元々存在していた魔力を異常増幅させているのかもしれん」
「なら条件の1つは問題ナシってことだな」
「何をするというのだ小僧?」
「この森のほとんどを一気に自崩させる」
「何?」
おっさんは驚いた顔をしていた。
そりゃ自分ができないことを魔法も使えない他人がやると言えば驚きもするだろう。
「へぇ〜凄いんですねカリムさんは〜」
両手をポンと合わせてニコニコ笑っているセフィ。
あんた…悔しくないのか?
デニスは……………寝てた。
空に浮かんだまま直立不動で寝る人間を俺は初めて見たが、どうでもいいことである。
「あ〜……とにかく手段はあるんだよ。でもそこでもう1つの条件が関わってくるんだ。
自崩させるのはいいが、俺はおっさんと違って自崩させる対象を選択できない。だからもし自崩
させる範囲にエリナがいたらどうしよもない。つまりもう1つの条件はエリナを瞬間的に救出
できるかってこと……だな」
それを言うとおっさんとセフィは黙り込んでしまった。
「この森が陣を形成して魔法を使うのは体験済みだろう。その関係でだが、いたる所で結界を張っている
んだこの森は。1つ1つは小さな結界だが数が多いからエリナの居場所が特定できん」
「それにオピリオスが最初に自崩させた時にエリナさんが別の場所へ移動していたことから〜
結界から別の場所へと転移させる魔法も使えると思われますから〜お手上げなんです〜」
「なんだ……なら問題ナシだな」
そう問題はない。
だが2人の魔法使いは信じられないといった顔だ。
「本当に大丈夫だって。そのかわり2人がうまくやらないといけないけどな。じゃあ今から作戦を
説明するぞ?」
そして俺は2人にできる限り詳しく説明を始めた。
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「なるほど。しかしそれなら小僧は小娘が浮かしておかねばなるまい」
「そうなんだけど大丈夫かセフィ?」
「あ、はい〜。じゃじっとしててください〜」
と陣を描いて魔法が発動する。
俺の体が急に浮かぶ、慣れないと少し慌てるなコレ。
「ふむ、ではお互い配置につくか」
「つっても俺とセフィが少し離れるだけだけどな」
「いいから早く行け」
「へいへい」
背を向けて歩きだ―――――浮き進むと言うのが正しいのだろうか?
ともかく進みだした、その時。
「小僧」
声をかけられ振り返る。
おっさんは何か真剣な眼をしていた。
「お前は何故エリナを助けるのにそこまで協力的だ?1泊2食の恩ではそこまでできまい」
おっさんの質問は先に俺がそうしたような愚問なものだ。
考えるまでもなく答えられる。
「エリナはきっと追い出される時自分の信じていたものを捨てたか、信じていたものに捨てられたか
の体験をしてるハズなんだ。なのにとても悲しい生活をしてた。だから話し相手になった俺たちが
助けてあげないなんて――――――かわいそうじゃないか。
そうだろう?」
「…………まるで知った風なく言い方だな」
また愚問。
そんなの知ってるに決まってる。
「俺もエリナと同じような体験をしてるからね」
そう言って眼を指で指し示す。
緑色の眼。
エリナとの共通点である眼。
おっさんはよくわからないという顔だったがそれは無視してセフィの待ってる位置まで進み始めた。
「カリムさん〜」
「悪い。んじゃ始めるけど…いいか?」
「はい〜いつでもいいですよ〜」
「よし、じゃあ――――」
作戦開始だ。
そう言って俺は手に持った何個かの銃弾を上に放り投げた。
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