どういう……ことだ?
辺りを見回す。ここは……王室だ……何故自分はここにいる?
鏡。鏡だ…………なっ……!!
自分の姿を見て愕然とする時が、まさかあろうとは。
この…このそこいらにいる少年と変わらない姿をしているのが自分?
そ ん な バ カ な っ ! !
だがこれは紛れもなく事実だ。事実であるなら何故こうなったか考えねば。
部屋から外を眺める。下に広がる城下町でも、はるか彼方に見える地平線でもなく…………
眼に見えたのは……負。
「くくっ…」
唐突に今自分がこの場に存在する理由を理解する。
「ははっ…」
どんなに堪えても笑いがこぼれる。おもしろい、おもしろすぎる。
「はははは…はは……はははははははははははははっ!!!!!!」
もう駄目だ。我慢できない。これ程に愉快にさせてくれることを自分は今までの数百年という時の中で
数えるほどしか経験したことが……ないっ!!
そうだとも。
これ程に愉快なことはそうない。
たかだか数百人の人間という存在が、そう人間という存在がだ。
私をただ1つの感情だけで呼び出したのだから。
玉座に向かい歩き出す。止めるものなど誰もいない…いるはずがない。
そのまま今の自分には大きい玉座に座る。誰も反対などしない。
「それがお前たちの望みならば…」
当然だ。
「いいだろう…ああ、いいだろう…」
何故なら私は
「その消えることのない執念を、私を呼び出すほどの執念を認め…」
私は
「お前たちの王となろうではないか?」
そのためにここに呼び出されたのだから。
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!!!!!
ただの叫びにしか聞こえない歓声。私を待ち望んだ者達の歓声。うるさいが……悪くはない。
「さあ、これからが汝らの始まりだ……」
歓声をあげる者には聞こえないよう呟く。
「その尽きることなき執念で我を楽しませろ」
その日、日が沈んでも歓声は止まなかった。
新たなる王をいつまでも祝い続けるために。
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