回収したお宝をトレジャーハンター協会まで届けデニスが報酬を受け取る。
さっそく約束どうりの7割をもらい、デニスのバカが切り裂いた家具を新たに買った。
もちろん家まで運ぶのはデニスだ――――――
てゆうか本当にあんだけの家具持つとは思わなかった
タンスにソファーにその他いろいろで普通に考えて持てない感じがばっちりなのに―――
どういうわけか買いすぎて両手で買い物袋持ってる人と同じ要領で歩いてやがる。
だがしかし山の途中に位置する俺の家まで運ぶのは堪えたらしく
家まで運んで指定場所に全部置かせたらイキナリ倒れた。
「おい、生きてっかー?」
寝てたら今後の俺の安全のためにも秘密通路に放り込んで出入り口ふさいでやろう。
「さすがに疲れた」
いや……汗1つかかずいつもの顔で言われてもなぁ
対応に困るぞ。
「んじゃ、何か飲み物やっから飲んだら帰れ」
「いや、大丈夫だ。もう帰る…今回は助かった」
「宝探し出したのはオマエだけだがな」
「1人ではできなかっただろう。では、またな」
―――――――と開け放しのドア(後で業者さんが修理に来る予定)から出て行った。
2度と来るな
さて今回の仕事の収支を記録しないと……えーと……
「収入が…30万で、出費が…………45万!?」
思わずペンを折りそうになる。
やっぱり家具がきつかったか………ふふ、フフフ
仕事で2連続赤字だ〜
今回はバイトしてたからまだいいようなものだが…
「次の仕事もこうだったら」
―――――――何か定職にでも就こうかな
ちょっと真剣に考えたりする。
でも難しい問題だし後でゆっくり考えよう。
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「気にするなよ?」
昼過ぎ窓際で1人たたずんでいた俺にアルはそう言った。
俺は同じ教室の人間とは誰とでも話してたし、仲も比較的よかった。
アルはその中でも特によく話す人物だったし
だからこそ、そんな台詞を俺に言ってくれたりして
俺はそれが凄くありがたかった。
「何のことだよ?」
でもそれを素直に表現するのは恥ずかしいのでそんなことを言った。
「その眼だよ。別に俺たちはお前が変わったなんて思ってないから気にするなよ」
「わかってるよ、んなこと」
心の中では―――――
「ありがとう」と礼を言っておく。
そして沈黙。
2人して何も語らない。
とうとう夕方になるまでお互い何も喋らなかったので質問した。
「なぁ………もし俺が出て行ったらアルはどうする?悲しんだりとかする?」
アルは一瞬ギョッとした顔をしたが、すぐいつもの顔に戻り聞いてきた。
「それはどっちの場合だ?」
「どっちの場合って?」
まさかそんなこと聞かれるとは思っていなかったので、何のことだかさっぱりだ。
「お前にまた会える機会があるのか、もう2度と会えないのかだよ。前者なら俺は悲しまないし、
後者なら悲しむ。が答えかな」
そう答えたときのアルの真面目な眼がもの凄く
いままで見た事がないようなくらい
真剣だったのが
――――――――印象的だった。
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「………んあ?」
ソファーで寝ちまったのか。
何か懐かしい夢を見た気がするんだけど………なんだっけ?
ま、思い出せないなら別にいいか。夢ってそんなもんだし。
…アレ? ドアが直ってる。修理屋さん来てたのか?
って、請求書置いてある。
「はぁ〜」
ため息をついてドアの開け閉めの具合を確かめて――
それが眼に入った。
街全体を照らす夕日。
あの日の夕日にとても似ていた。
ん? あの日?
…………………何でそんなこと思ったんだろう?
まあ…いっか。
だって夕日は綺麗で、なおかつ見れる時間が限られているのだから――――
だからのんびりと眺めていよう。
沈んでしまうその瞬間まで。
第二章 〜玉座につきしは制約受けし死神王〜 完
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