「ん…………ふぁ」
もう…夕方か。よく寝た〜!
「俺はナイルガのクラベレシリーズ:5が好きだなぁ。形がいいし」
「ふむ、俺は無名だがピジラスのハグネがいいと思う。形状の面では他の熟練者に勝てないだろうが
素材の使い方が独特でいい感じを出している」
「ああ〜確かに。でも同じ人がテウガも出してるだろ?あれ持ってる?」
「持っている。だが、あれは少し素材にこだわりすぎている。」
うわぁ………喋り終わるどころか、ヒートアップかい
つうかこの2人と同じ常識にとらわれたくないから頭の整理をしとくが、この2人は額当てというけど
実際はヘッドギアって感じなんだよな。昔アルが『これをつくった職人は元は額当てをつくってた職人
だから額当てと呼ばねば職人さんに失礼だ!!』と熱弁してたから額当てと表現する癖がついたけど。
「そういやクラベレの最新作のシリーズ:8さぁどう思う? 俺は今回のは悪いと思うんだ」
「今までのシリーズに比べると確かに見劣りしてしまうな。だが確か製作者が息子になっただろ、その
せいじゃないか?」
「え! マジで!?」
………………仕事の事忘れてるだろ、テメェら
「おい!」
「ん? 起きたのかカリム」
「どうした?」
台詞はいたって普通だが、顔がもの凄い不機嫌そうだ。あまり表情の変化がないデニスですらこれでもか
ってくらいわかりやすい顔してるが俺まで変な世界に巻き込まれるわけにはいかねぇんだ
「いや、明日の朝まで何しててもいいっつってもさ、作戦くらい立てようぜ?」
「あ〜そういやそうだな」
「そうだな」
顔は納得してなかったが、夕飯の準備を(どうせ携帯食料だけど)しつつ作戦会議となった。
まず仕事の優先順位。これは話すまでもなくアルの方が先である、こちらを先にしないとゾンビで大変だからだ。
次に城への進入経路。ゾンビとの戦闘をなるべく避けて城に行きたいのだが、アルの話だとこの街の人間全部がゾ
ンビ化してるのは間違いないとのことだからこれはもうその時その時で見つからないように進もうってことになった。
「ところで…クイス」
とデニス。見ればパンに昨日のジャムを塗って口に運んでいる。こいつはアルじゃなくてクイスで呼ぶのか、珍しい。
デニスはアルの持ってた城の見取り図を見ている
「どうした? 何かおかしなとこでもあった?」
「いや、ここの地下通路なのだがな」
と見取り図を地面に置いて、指でその場所を示す。
それは俺たち3人が並んでも余裕で歩けるくらいの広さの地下通路だった。
デニスが示しているのはよくわからない場所だ。おそらく街の地下にも地下通路があってそれを示した見取り図
なんだろうけど街の建物の位置がちゃんと書かれていないのでどこかが判断できない。ここがどうしたってんだ?
「どうもこの位置がちょうど教会らしい」
つまりこの教会に城まで通じる地下通路へ降りる階段なんかがあるってことか? でも…
「この見取り図でよくわかるな」
俺にはさっぱりわからない。
アルを見る。さっぱりというジェスチャーを返してきた…やっぱり。
ま、わかってたら最初から言ってただろうし…
「おおまかではあるがな、それにさっきから何か風が」
そこまで言ってデニスの姿が消えた、というより落ちた。
デニスの座っていた地面がいきなり崩れて、そこから見える階段をデニスが転がり落ちた。
そのままガンッと音が聞こえる。扉にでもぶつかったか?
「おーい、生きてるかー!」
「アル。ほっといても帰ってくるって、アイツは生半可なことで死にはしないよ」
「いや、俺もそう思ってるけど念のため」
と待つこと30秒。普通の顔してデニスは帰ってきた。
「鉄の扉があったが鍵はこちら側からしてあるから問題はない」
「じゃどうする? 進入経路」
「うーん。とりあえず先に地下通路の様子を見てみて、駄目そうだったら最初に考えたとおりでいくとか?」
「それで問題ないだろう」
そのまま食事兼作戦会議は終わり、朝までは自由になった。
さっきまで寝てたし銃の点検でもしとくか。……………にしても
「しかしクラベレシリーズは形状はいいが少々重くないか? 俺には使いづらい」
「そう? 俺はあれくらいが安定していいんだけどな〜。デニスって軽量型のがいいのか?」
どれだけ話すつもりだこのコンビは
てゆうか何で額当て1つでそこまで話せるんだよ……わからねぇ〜
そんなこっちの考えを知ってか知らずか2人の話は終わることなくヒートアップしてきている。
………さっさと準備して寝よ。
「……で………だよなぁ」
まず銃をバラしてっと…
「だが……だろう?」
磨耗している部品をメモしてっと。仕事終わったら裏ルートでそろえないと。
「………とかも………だなっ」
んで銃を組み立てる。っと、よしおっけぇ〜
「……と……の組み合わせもいいと思うが」
「ああ! うるせぇ!! もう寝ろ!!」
近くの手ごろな椅子を投げる。2人は器用に避けて問題ないといった感じで会話を続ける。
専門用語ばっかで会話するな!!
もう嫌だ、このままじゃこいつらに汚染される。あまり眠くないけどもう寝よう。
明日は大忙しかもしれないんだから……
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