「マリベルッ!!」

「あ、カリムさん。今モロカの実を使ってパンを焼いたんですがいかがですか?」

「あ、じゃ、1つ貰おうかな」

「ハイ。どうぞ」

 はむはむ……………………っ!!

うまいっ!!………ハッ!!!

「違う! 違うっ!! マリベル!!」

「え…どこか失敗してますか?」

「あ〜〜、それは置いといてぇ。え〜と、この村に二週間程前に誰かきたりしてないか?」

「そうですねぇ〜、二週間程前…運搬の方とか、後は普通の旅人さんが数人来たくらいですが?」

「その中に怪しい奴とかいなかったか?」

「特にそのような方はいませんでしたけど…」

「…そうか」

 村の中に魔方陣が無いから外部の人間が何か持ち込んだんじゃないかと思ったのに。振り出しに戻ったなぁ。

「運搬の方はもちろん、旅人さんも真っ黒なローブで顔まで隠されてましたけど別に普通ですし…」

 ………………待てい。

「その黒いローブの奴はいったい?」

「へ? 旅の行商人さんです。名前は名乗らなかったですけど…どうかしましたか?」

 どうかしましたか? て普通に怪しいだろ!? …う〜ん、どこか感覚が吹っ飛んでるなぁこの二児の母。

「そいつはどうしてた?」

  「村長様の家に数日間宿泊されていきましたよ」

「わかった! サンキュ!! あ、パンうまかった! ごちそうさん!!」

「お粗末さまです」

 よし、次は村長の家だ!!


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「おらぁ! そんちょおおぉぉぉっ!!!」

 ドアというドアを蹴破る。んな派手なことしていいのか? …んなもん当然だ!!
 断定できる根拠? ………今から村長にはかせる!!!
 とりあえず偉い人間は必ず建物の一番奥にいるものだという理念のもとそれと思われるドアを蹴破る。
 おお、本当にいた。何かやたら怯えてるが…尋問しやすいのでよしっ!!

「な、何なんですか! あなたは!!」

「二週間前にあんたのところに泊まったっていう行商人との事ですこ……」

 うわ、わかりやす! 村長、顔真っ青っす。って…うおっ!! この世のオシマイみたいな顔しだした…

「あ、あ、もう駄目だ………」

「あ〜、何か1人で話進んでるトコ悪いけど…いい?」

「お願いです! 助けてください!! もうこんなのはたくさんだ!!!」

 やめろーーーーーーー!! おっさんに抱きつかれてもうれしくねぇーーーー!!!

「あ゛ーーーーーーっ!! 離れろっ!! わかったから!!! アンタ行商人と何があった!!?」

 そう言うと村長は本棚から一枚の紙切れを取り出して机の上に広げた。

「これを買ったんです。村を守るのにちょうどいいと言われて。でも私は…………っ
こんなものは望んでいなかった! 本当です!! ただ強盗や魔物が村に近づけなくなるだけだと思って
やっただけなんです!!!」

 そう言う村長の眼は確かに真剣そのものだった。恐らく行商人の口車にのせられたんだろう。けど…

「じゃあ何故、俺が来たときすぐにこれのことを言わなかった!?」

「そ……それは…」

「いいか! あんたがこれをさっさと警察機構なり軍なりに持って行ってれば、それ相応の対応ができたんだ!!
それをどうせプライドなりが決意を鈍らせたんだろうが!!! いいか!? そのプライドのせいで死ななくていい
人間が死んでるんだ!!! それを忘れるなっ!!!!!」

 村長はそのまま押し黙っちまった…ま、その方が集中できるからいいけど。
 机に広げられた紙を見る。
 間違いない……魔方陣だ……!!
 こいつさえ解読できれば……!!
 勝てる!!……かもしれない


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