う〜〜〜〜っ!! 疲れたぁ〜〜
あの後、ほとんど精魂尽きた村長(何でもそのままぶっ倒れてドクターのとこまで運ばれたらしい)から
借りた魔方陣の解読をしてたんだが、もともと魔法文字等の類は得意ではないから、夜まで費やしたってのに
全然解読できなかった。
わかったことといえば、あの化け物はどうやらゴーレムの一種らしいってことと、呼び出された際周辺の地形
に応じて1番適した形になるってことだけだ。
……………適してるか? アレ。
まあ村の人間が襲われないのもこれで納得がいく。あの村長がゴーレムを呼び出す際『村を守れ』とでも命じた
からだろう。ただゴーレムはそれを『村に近ずく者を排除』とうけとったのだろう。…俺がここに来たときに
襲われなかったのはマッチョに気絶させられたからでなく、村の人間がいっしょにいて俺のことを『村の人が
招いた客』と認識されたからだと………思う。こればっかは断言できない。
「カリムさん」
「マリベル?」
「夜食をお持ちしたんですが…」
夜食? …………もうそんな時間かよ……気づかなかった。
「ああ、ありがとう。全然気づかなかったから助かった」
マリベルから夜食を受け取る。どうも夕飯の残りではなくちゃんと作ったらしい、どれも温かかった。
………手間かけさせちまったな〜
そのまま夜食をかっ食らっているとマリベルからいきなり質問された。
「あの…"感染者"としての生活は辛かったですか?」
「ングッ!! ……………プハッ! ……ハァ…ハァ…ケホッ」
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……」
"感染者"……俺みたいな眼が緑色の人間のことをいう。もともとこの世に緑色の眼の人間はいなかった。
それが四年前、突如として眼の色が変化するという事態がおきた。その際注目されたのがそれがおきる数日前
に落ちた隕石だった。その隕石の落ちた付近の動物が変死しだしたうえ、死んだ際に眼が緑色になったために
人間も同じになると断定され"感染者"を隔離、従わないものは殺すという活動がおきた。
その1年後、研究により人間は眼の色が変化するだけで他に害は無いと宣言され、"感染者"を保護する条約などが
作られた。
「いきなりどうして?」
「だってカリムさんはどこかの組織の方だったんじゃないんですか?」
「なっ!!?」
「いくら私が田舎者だからって、銃が普通に出回ってる物じゃないことぐらい知ってますよ?」
………誘導尋問オミゴト。
「でも組織だと語弊があるな。俺は兵隊養成所で育ったわけだし。まぁそれでも組織に近かったとは思うけど」
「じゃ国の兵隊さんだったんですか?」
「いいや。俺が居たとこは国に兵を送り出すのと、自分らのところに強い人材を残して公的な「何でも屋」をする
のとで分かれてて俺は後者の方だったんだ……でも何でそんな事聞くんだ?」
「だって…その眼のせいで出て行かないといけなくなったんじゃないんですか?」
「ああ…………そう…だな」
一瞬、目の前に泣いていた妹の顔が見えた。そう、俺がアソコを出て行った理由は紛れも無くこの緑色の眼だった。
「……すいません。気にしてますよね…」
「いや…まぁ…それ事態はあまり気にしてないんだが…妹のこと思い出してさ」
「妹さんですか?」
「血はつながってないけど。養成所なんかじゃよくある話だけど俺もそいつも……俺といっしょに訓練してた
やつのほとんどは孤児でさ、最初そこに連れてかれたときひどく泣いてたから面倒みたら懐いてきてさ……
妹みたいだったってだけなんだけど」
「そうなんですか」
「そ。………で、本当に何でこんな事を聞くんだ?」
「あ…いえ、やっぱり大変だったのかなって…すいません、変なこと聞いて」
そう言ってマリベルは出て行ってしまった。………あ、飯冷めてるよ……
もしかしてマリベルは過去に"感染者"と何かあったりしたのだろうか?
………………ま、今はそれどこじゃねぇよな。とっとと飯食って寝よ〜っと。
夢を見た。"感染者"になった日の。突然だった。
昨日まで何ともなかったのに朝、眼が覚め、鏡を見たらもう"感染者"だった。
もちろん周りの人間は驚いていたが…俺と同じ教室の人間はいたって普通の態度だった。
不安でしかたなかった俺にとってそれはすごくうれしかった。だが……
俺を隔離しようとする人間が当たり前だが、いた。
俺は周りに被害を出させないため出て行った………それは表向きの理由。
本当は………俺は………
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