「また派手にやったねぇ…」
左手の(正確には手のひら)怪我にぐるぐる包帯が巻かれる。ここは村の診療所だ。
あの後マリベルの家まで戻ったところ
「何してるんですかっ!!」
と、二児の母の往復ビンタをくらい、引きずられるようにここまで連れてこられた…
恐るべし二児の母。
「しかし、これだけの怪我ですむなんてすごいね…と褒めた方がよかったかね?」
「いや…別に……」
「何も謙遜することはないだろう、ハッハッハッ!!」
そんなバンバン叩かんでくれ……つうか俺、この医者嫌だ。
だって、だって………マッチョA〜Eにそっくりなんだもん。髭こそはやしてはいるが
本当にマッチョそっくり! これで家族じゃなかったら世の中疑いそうだ……
確かめたいが…怖い………っ!?
「え〜っと、ドクターはもしかして…マッ…俺を〜〜〜…」
やっぱ無理だーーーーー!! 知りたくないーーーーーー!!
「ああ、そういえばうちの息子たちが君に迷惑をかけたようで、すまんねぇ」
「息子さんといいますと……あの?」
「ハハッ! 5つ子なうえに私に似てねぇ〜困ったもんだよ」
いやーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!
やっぱりいいいいぃぃぃぃ!!!!!
へルーーーーーーーーーーーープッ!!!!!!!!!!
「そんなオロオロして、他にどこか悪いのかね?」
「い…いえ…」
帰りたい!!……んだが一応確認しねぇといけないことが……あるんだよなぁ〜
「ドクター。1つ聞きたいんですが」
「私に答えられることなら…何かね?」
「ドクターは犯人についてどう思っているか聞きたいんです」
「何故…私に?」
「村の人間全員の推測より、ドクターの推測の方が現実的分析がありますから…といっても俺は
犯人を目撃してるんですが…確証がほしいんですよ」
「なるほど。ただ医学をやってきた人間がこんなことを言うと君は笑うかもしれないが…私は犯人は
人間はもちろん獣や魔物の類とも思えないんだ」
「根拠は?」
「まず死体がどれもこれも異常なまでに破壊されている。この時点で人間と獣は除外できると思えるくらい
ひどい。だが魔物という説も私はあまり薦めない。村を襲ってこないからだ……他にも根拠はいくつか
あるが……?」
「そこまで聞けば充分です」
俺は席を立った。早く出てかねぇと……ここに長居をしたら死んでしまうっ!
だが……出入り口のドアを開け出て行く前にドクターに声をかける。
「ドクター。ドクターの分析は正しいですよ」
「しかし…それでは犯人は…」
「ドクターは医学…つまり科学側の人間だからそこまでで思慮が止まるんですよ。まぁヘタに知る必要
なんてないですけどね、では」
「ど、どういうことかね?」
上半身だけひねり答える。……早く外に行かせてくれぇ〜っ。
「つまり今回の事件は魔法側の出来事ということです。今度こそ、では。少し急ぎますので」
足早に外に出る……ああ生きてるってスバラシイ!!
って…それよりだ、ドクターのおかげで確証が持てたが、やっぱ魔法が関わってるな…
まぁ見たことない生物ってきたら魔法って考えるのが自然だし。
だけどこんな田舎で魔法ねぇ……
「思った以上に…厄介かもな」
はぁ〜〜。ため息ついてる場合じゃねぇな、さてどこから調べようかね。
魔法で生物を生成召喚する場合、大概『魔方陣』が存在する。それを消したからといって化け物が死ぬ
というわけではないが描かれた魔法文字を解読できればどういったものを生成召喚したかある程度わかる
(もっとも…解読できるか怪しいし、村の中に魔方陣があるかも疑問だけど)
そして……村中走り回ったが魔方陣なるものは見つからなかった。ここまできて、それか!?
…………となると次は…!
俺はマリベルの家に向かい走った。
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