とりあえず村からあまり離れていない、けど近すぎない、そんな位置まで歩いて俺は立ち止まった。
 いざという時村まで逃げられないと困るが、かと言って村に近ければ俺を襲いに来ないだろうからだ。
 微妙な位置だから犯人が襲いに来るのに少し様子を見ると踏んで、俺は煙草に火をつけた。
 ……そういや昔は煙草吸うなんて夢にも思わなかったな。
 昔ふざけて煙草を吸い、えらく苦しんだことがあるのを思い出し俺は苦笑した。
 そのまま数分。煙草が短くなりだしたが…何も起こりやしないぞ?
 さすがに感ずかれたか…俺は煙草をそのまま地面に捨てた。
 すまない自然。今日は携帯灰皿を忘れたんだ…次からは気をつけマス。
 自然に謝罪しつつ地面に落ちてゆく煙草を見つめた。刹那。

「〜〜っ!!?」

 俺は慌てて後方に跳んだ。そして寸前まで俺がいた地点を何かが通り過ぎるのを感じた。
 正直なところ落ちた煙草がいきなり切れたりしなければ気がつかなかった…
 そのまま近くの木に背中をつける。少なくともこれで背後はきにしなくていい……が

(何だ? 全然見えなかった…)

 思うと同時、前方の木が僅かに揺れた。俺は迷わずその場に尻をついて、しゃがんだまま腰の銃を引き抜き
上空に向かい発砲した。手ごたえは……っ!!
 そんなものを感じるより早く俺はその場を転がりながらどき、その場所に向けもう一度発砲する。
 やはり手ごたえはない。いや、それは間違いだ。こちらはまだ敵を確認できていないのだから。
 木を見る。幹が深くえぐられていた…俺がそのまま立っていれば俺の胸がえぐられていたハズだ。

やばい! やばい!! やばいっ!!!

 俺の本能がそう叫んでいる……わかってるけどどうせぇっちゅうねん!!


…ザッ


 風があったら聞こえないだろうくらいの音だが確かに手前の地面から聞こえた。仕掛けてきたっ!!

 迷う暇は無い。

 勝負は一瞬。

 左手を前に突き出す。

 同時。左手を襲う衝撃。走る激痛。

 目の前に何かがいる。
 それを確認せずに左手と同時に突き出した右手、にある銃を突きつけ―――――

残弾4発をすべて叩き込む!!(俺の銃は6発入り)

 目の前に何か…犯人が倒れた。俺はそれを確認して言葉に詰まった。
 少なくとも人間ではない、では何かと言われると……何だコレ?
 目の前に倒れている化け物は、ライオンとトカゲの合成獣……が一番近いかもしれない。
 顔には奇妙な仮面をつけている………マジで何コレ??
 今まで変わった動物、モンスターは見たことがあるがこんなの初めてだ。

「いてっ」

 そういえば左手がやられたんだっけ…って、うっわ〜穴あいてら…

って痛てーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!

 くっそ! この野郎……って何!?
 化け物が微かに動いている…死んでないのか!?
 今すぐ残りの残弾を叩き込んで…いや…
 俺は村に向かって走った。左手負傷だけで敵の姿を確認できただけ大収穫だ。それに、敵が奥の手を持ってない
と断言できない状況で命を賭けて戦う必要もないしな。

「とりあえず初戦は痛み分けってとこか」

 近いうちに決着つけてやる! そんで自由になったる!!



 俺が無意識のうちに興奮したのか左手の痛みがすこし強くなった……気がした



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