この魔法科学が発展してきた世の中で特に発展したといえば移動手段だろう。
さすがに転送装置だとかまではいかないものの、ものすごく速い乗り物なんかは
次々作られている。
その中で群を抜いてすごいのは通称「魔列車」
正式名称「57式魔動エンジン搭載型列車 フェルシス」
まず凄いのが魔動エンジンによってたたきだせるスピード。最高で音速を超える。
乗客の安全云々で滅多にそこまでスピードを出すことはないけど……ちっ
んで、機体自体も魔動力学をもとに作られており、亜空間も走れるらしい。
あくまで理論上だが………ちぇ
それでもって乗り心地のいいように、大分設計にこだわられている内部。
今や大陸間の行き来にかかせない乗り物だろう。
ガタン ゴトン
なんてことをゆっくりと景色を変える汽車の中で考えてみる俺。
あ?何で「魔列車」じゃねぇのかって?
あんなもん乗れるの大金持ちか、貿易関係の仕事してる人間だけだっての。
一回乗るのに必要な金を聞いた時は耳を疑ったぞ、なんせ一般常識の額を3桁上回りやがった。
自慢じゃないが一生乗れないね、あんなの。
じゃ、何でんなこと考えながら汽車なんぞに乗ってるかってぇと……
理由は今俺の目の前ではしゃいでいる2人の子供に起因する。
「「カリム=ウォーレンてあんた?」」
仲良く同時に起きた2人の子供…正確には男の子と女の子の第一声はそれだった。
「そうだけど…何か用か?」
「「仕事頼みにきた!!」」
「帰れ」
即座に外に放り出してドアに鍵をかけた。
やっぱ1番にしとくんだったああぁぁぁぁ
「何で追い出すんだよー!」
「ひどい!ひどいぃ!!」
「うっさい!! ガキの持ってくる依頼なんざなぁ!! 猫探しかお人形探しって決まってんだ!!
却下だ! 却下!!」
「兄ちゃん…昔何かあったのか?」
「かわいそう…」
あ…哀れむなぁぁぁっ!!
「と、とにかく! 却下だ! んな依頼は!! 帰れ!!」
「別にそんな依頼じゃないもん!」
「そーよそーよ!」
「んじゃ何だよ?」
「警察機構とあと〜…」
「軍の人」
「あ、そうそう! 軍の人も手に負えない仕事だもん!」
「んな危険ないらい…」
「まっぴらごめんじゃあ!!」と言おうとしたその時、俺の頭の中である図式が完成した。
危険な依頼 → 報酬ガッポリ → 俺ホクホク
簡単すぎる図式だったが、生活にやや困っていた俺に
「その依頼引き受けてみてもいいぞ」
と言わせるには充分でした。
という理由だったんだが……
ガキに聞くところその場所は汽車で3時間かけて行く田舎だった。もしかして警察機構と軍の
手に負えないって、単にそこまで人を派遣するのがめんどうだっただけじゃねぇのか?
不安だ…すごく不安だ………
んでもってその不安は見事的中することになる。
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