…………ああ、どうか今のセリフがハッタリだと思われませんように。
ああそうさ!! ハッタリさっ!!!
だいたい、弾丸もあと6発しかねえっつの!こんなんならもっと持ってきとくんだった〜!!
こうなりゃ…………っ!!
「緑の契約によりうまれし短剣っ!!」――――――― 残り5発
撃つと同時にゴーレムも反応して跳んだが、無駄だ。
着弾。その地点を中心に風の渦が発生する。ゴーレムはある程度反抗してみせたが
木などが多い場所での戦いを得意とするためか、軽く造られていた(蹴りを入れた時に気づいたが)
ため、あっけなく上空に吹き飛ばされる。
「追跡の使命を受けし兵よ、行けっ!!」
2発続けて撃つ―――――― 残り3発。
適当に撃った2発の弾丸は左右に分かれ、そのまま上空に吹き飛ばされたゴーレムめがけて方向を
変化させ追跡し、ゴーレムをはさみこむ形で迫っていった。
ゴーレムは手を左右に差し伸べて自分の体の周りに球状の魔法壁を出現させた。…予想どうりだ。
解読こそできなかったものの、魔方陣なんかでよびだされるものは自分を守るための機能として魔法を使える
ものが多いので予想はしていたし、予想していたのだから当然俺は次の行動を起こしていた。
「貫通の使命を受けし兵よ、行けっ!!」――――――残り2発
放たれた銃弾は、先の2発の弾丸を打ち消した魔法壁に小さな穴を開けそのままゴーレムの仮面に当たった。
ゴーレムは大きく仰け反りその体勢のまま地面に激突した。
「………やったか?」
動かないゴーレムを見つめていたが、すぐに体を起き上がらせこちらに踊りかかってきた。
(あれでも駄目かっ!?)
正直残りの弾丸2発でどうにかなるかわからない、が……
「束縛の使命を受けし兵よ、行けっ!!」―――――残り1発!
自分の目の前で撃たれた弾丸に反応しきれるワケもなく、モロに直撃した。………どうやらこちらは
効果があるらしい。ゴーレムはピタリと止まっていた……こいつくらいだともって1分か。
どうする?
逃げる?…それこそ無駄だ。今のうちにどうにかしないと。
じゃあ、どうやって? ……くそ! せめてこいつが解読できればっ!!
ズボンのポケットから例の魔方陣を取り出し、広げる…………ん? 何だこりゃ?
魔方陣の描かれた紙に昨日までは見かけなかった穴が開いていた。……そうかっ!!
魔方陣の紙を地面に置き、距離をとり銃を構える。ラスト1発! これではずれてたらオシマイだ
「赤の契約によりうまれし鉄鎚っ!!」
紙に着弾。爆発。爆発の光が、風が、俺とゴーレムを通り抜けた。紙の大半は灰となり
そうならなかった部分も燃えていた。爆発で生じた煙がはれていく。目の前には右手を突き出したゴーレム。
だが俺に攻撃があたる寸前、右手は砕け、灰になった。右手だけでなく体のほとんどが砕けだしていた。
そして残った部分は燃え出した。やっぱり。
魔方陣の紙とゴーレム本体はリンクしていたんだ。
そのまま燃え尽き、消えていこうとするゴーレムを見つめた。まぁ散々手間取らせてくれたが!
俺の敵じゃあねぇっ!!
「ハッハッハッハッ!! ハ〜ッハッハッ………はっ?」
自分でもずいぶん間抜けな声だと思う。だが燃えていたゴーレムの仮面が崩れ落ち、見えた素顔。
それは、まぎれもなく俺の知っている人物の顔だった。
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